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和菓子『水無月』

 

緊急事態が解除されたら、春過ぎて夏になっていたが、今に始まったことではない。

つまり、もともと季節感などはとうに失われてはいるのだが、形だけは味わいたいんよ。

 

そこで6月の‟月いち餅”はと言えば、紫陽花に見立てた、カステラのそぼろをあしらった【紫陽花餅】ってわけ。

ところが予約販売済みだから、名越の祓(6月30日)の和菓子【水無月】を買って帰ったんよ。

 

暑気払いにはまだ早すぎるかもしれないが、コロナ祓には佇度良いってもんだ。

それともう一つ、神社へ参れば茅の輪くぐりで、恐ろしい疾病から逃れられるというわけ。

 

水無月(みなつき)の夏越(なご)しの祓(はらえ)する人は 千歳(ちとせ)の命 延(の)ぶというなり

YOUは何しに日本へ?(Why did you come to Japan?)

 

インタビューする人間をふたり選ぶとしたら、ルイス・フロイス(1532-1597)とドナルド・キーン(1922-2019)である。

フロイスは、戦国時代に来日し、最初の天下取りと呼ばれる三好長慶や、統一をした織田信長・豊臣秀吉らと会見もしているのだ。

 

一方のキーン氏は、東日本大震災を契機に、2011年(平成23年)9月1日に、永住のため来日し、日本国籍を取得した人物である。

彼らの作品とは、戦国時代の貴重な資料となる『日本史』と、三島由紀夫をもって“詩人の魂”と言わしめた『日本の文学』なのだ。

 

もちろん、日本礼賛を引き出すのではなく、戦国時代の再発掘と文学による日本の再発見につながらないか思うだけである。

さしずめ大河『麒麟が来る』は、桶狭間の戦いまで来ているのだが、こっちはまだ【麒】の字にも届きそうにないのだ。

 

ルイス・フロイスのあらまし 

 

1563年(永禄6年)、31歳で横瀬浦(現在の長崎県西海市北部の港)に上陸し、当時の領主大村純忠のもと、念願だった日本での布教活動を開始した。

そして1564年(永禄7年)、平戸から京都に向かい、1565年1月31日(永禄7年12月29日)に京都入りを果たした。

 

しかし保護者と頼んだ将軍・足利義輝が永禄の変(1565年)で殺害されると、三好党らによって京都を追われ、摂津国・堺に避難した。
ところが1569年(永禄12年)、将軍・足利義昭を擁して台頭していた織田信長と二条城の建築現場で初めて対面したのだ。

 

そこで、既存の仏教界のあり方に信長が辟易していたこともあり、フロイスはその信任を獲得して畿内での布教を許可されたというわけ。

果たして『麒麟が来る』で、明智と対面するかどうかは知らないが、戦国時代を知るには欠かせない人物である。

ドナルド・キーンのあらまし

 

鬼怒鳴門(きーん どなるど)が、彼の漢字名になるのだが、雅号の鬼怒鳴門は鬼怒川と鳴門を組み合わせて作った当て字である。

なお、このドナルド・キーンの当て字「怒鳴門鬼韻」は、文通時に三島が書いて送ったものだという。

 

『東京外語会会報』への寄稿では「実は東日本大震災が起こる前から日本への永住を希望していた」とのことである。

漢字への興味から、日本語を学び始めた彼に、『源氏物語』の感動は、日本研究にまで昇華させていったの研究だ。

 

そんな彼が、名うての文士たちと交わりながら、なぜ小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)のように、日本女性と結婚しなかったのか不思議と言えば不思議である。

復員後5・6年もの間、コロンビア大学・ハーバード大学・ケンブリッジ大学、そして京都大学大学院に明け暮れていた、名代(なだい)の学士であってみれば然もあらん。 

『1970年』展

 

高度経済成長を象徴するような、、日本万国博覧会が3月15日~9月13日までの183日間開催され、その入場者数6,421万8,770人である。

しかも、3月31日には、よど号ハイジャック事件が起こり、9人の犯人グループは、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)へ亡命したのだ。

 

 

それが50年前の出来事なのだが、しかし、何といっても衝撃的な出来事は、11月25日に起こった三島事件である。

つまり、作家三島由紀夫が、憲法改正のため自衛隊の決起(クーデター)を呼びかけた後に割腹自殺をしたのだ。

 

この時、安倍総理は16才であり、その事件がどのように映ったのかは明らかではないが、「私は、国会議員になった当初から改憲論者である」と言っているのだ。

そして、2020年5月3日のビデオメッセージでは、新型コロナウィルスの感染拡大を受け、憲法改正で緊急事態条項創設の必要性を訴えている。

 

おれは4年待ったんだ。自衛隊が立ち上がる日を。……4年待ったんだ、……最後の30分に……待っているんだよ。諸君は武士だろう。武士ならば自分を否定する憲法をどうして守るんだ。どうして自分を否定する憲法のために、自分らを否定する憲法にぺこぺこするんだ。これがある限り、諸君たちは永久に救われんのだぞ。       — 三島由紀夫、バルコニーにて